チョコボール魔人キョロの呪い

 

具合悪いです。何故か？
キョロちゃんの呪いに間違いないでしょう。


昨日夕飯の買い物をしにスーパーへ出かけ私。
買う物も買って「さあ、帰るか」と思って出口へ向かった私の目にあるものが飛び込んできた。

お菓子コーナーの中央で王者の如くふんぞり返る小さな箱
ピーナッツ・キャラメル・イチゴ味・バナナ味の順に並んだそれは

チョコボール

そう。♪クエックエックエ！チョコボ～ル～♪のＣＭソングと
「おもちゃのカンヅメ」でお馴染みの森永製菓のチョコボールであった。

チョコボール魔人キョロの視線に思わず足が止まる。
無邪気そうでありながら、殺気と狂気を潜めた視線が私を捉える。
交差する視線。

「買ったところで何とする？」

ふと、司馬懿の声が聞こえた気がした。
そうだ。買ったところでそうする？
夜に甘い者を食べたら、せっかく減ってきた体重が戻るだけじゃないか。
それにニキビだって････。

耐えろ。耐えるんだ自分！
そんな誘惑に負けていては賢い消費者にはなれない！
思いを断ち切り、出口へと向かう私。
しかし、その私の目に･･･
「おもちゃのカンヅメ当たるよ！」
という文字が飛び込んできた。

当たる？
本当に？
今まで一度も当たらなかったけど･･･
もしかして今回は当たるかもしれない･･･

一瞬の葛藤。
しかし、次の瞬間
私はその手にしっかりと２つのチョコボール（キャラメル味）を握り締め
レジへと向かっていた。

早速家に帰り、口の中をクチャクチャ言わせながらパソコンに向かう私。
ふと、思い出し、箱のクチバシを開けてみる。
しかし、そこにあったのは無情にも外れのただ黄色いだけのクチバシ。
何だかやりきれない気持ちになって、まだ手をつけていないもう１箱へと手を伸ばす。
どうせはずれだろう。諦めのため息をつきながらクチバシを捲る。
するとソコには････
銀のエンゼルが！！
やった！苦節２０余年！ついにエンゼルをゲットした！！
驚きと喜びと、一種の征服感で胸がいっぱいの私。
銀のエンゼルが私に微笑みかける。
「おめでとう一軸」
「頑張ったね一軸」
そんな声さえ聞こえてきそうだ。

「何で巻き毛なんだ」とか「「生え際怪しくねぇか？」とか
「体の割りに羽根が小さい。それじゃぁ空は飛べないぞ」とか
「頭の上のワッカは何なんだ。天使のクセにタバコの煙か？」とか
「いくら子供相手でも裸は公然猥褻じゃないのか？」とか
「オスなのかメスなのかどっちなんだ？」とか
「オスだとしたら随分チ○○小せぇな」とか
そんな事はこの際どうでもよかった。
私は本当に嬉しかったのだ。

しかし、その瞬間銀のエンゼルは無邪気で優しい微笑から一転
悪魔のようにほくそえみながら私に言った

「銀のエンゼルは５枚集めないとカンヅメ貰えないんだぜ」

そう。おもちゃのカンヅメを手に入れる条件は金のエンゼル１枚か銀のエンゼル５枚なのだ。
現実に打ちひしがれた私の脳に銀のエンゼルらしき人物の声が響く。

「馬鹿な一軸。可愛そうに。せっかく手に入れたエンゼルがこの銀天使様だったとはな。
　あと４枚頑張れよ。ま、１枚に２０年以上もかかってんなら５枚揃うまでにゃ１００歳過ぎたバァさんか
　くっくっくっくっくっくっく。せいぜいがんばりな」
「うっせぇフル○ン天使！」

怒り狂った私は銀のエンゼルが下向きになるようにして、そのクチバシをテーブルに叩き付けた。
感情のままチョコボールを持つ手をタバコを持つ手に変えネットを渡り歩く私。
しかし、今日もまた店頭でならぶキョロちゃんの誘惑に負け、今度は３箱買ってきた私。
幸いあの小憎たらしい銀のエンゼルは出てこない。
見事なまでに全てハズレであった。
中途半端に出てこられるよりも、こちらの方がかえって気分がいい。
最近はハズレのクチバシでも５枚集めると、抽選で毎月５０００名にお出かけホルダーというものが当たるらしい。
が、よく考えてみればこの年でおもちゃのカンヅメを貰ったところでどうするというのか･･･。
当てる事に意義があるとも考えられる。当たった以上は応募してカンヅメをゲットしたい。
しかし、その後どうするのか？結局はゴミとして捨てられるのがオチではなかろうか？
何より、彼氏いない・見目麗しくない・上品じゃない・頭悪い・暗い・愛想が悪い・無駄にマニアックな一軸が
そんな可愛らしいものを持っていたら、それこそ『世界７大不思議』が『８大不思議』に増えるではないか。
しかし、それはそれで面白い気もする。

い出よゴールデンエンゼル！
今こそ私にその姿を見せるのだ！